タンザニア

アルーシャから北へ2時間、マニヤラ湖の東側にある2850平方キロメートルの国立公園は、2万平方キロメートルの面積を持つ生態系である。ケニアとタンザニアのマサイ草原に接し、アカシアの森と開けた草原は、雨季になるとリンの豊富な地域に野生動物が移動してくる。タランギーレは、若いシマウマ、ゾウ、バッファロー、ヌーの生存に必要なミネラルの濃度が低い。シマンジローは動物の出産に最適な環境を作り出している。タランギーレ・エレファント・プロジェクトは、野生動物について村々を教育し、密猟者を取り締まる手助けをしている。魔法のようにバオバブの葉が落ち始めると、5月中旬には最後の雨季が終わる。乾季が近づくにつれ、緑の草の生息地はより黄金色の草に変わり、ライオンやヒョウは無防備な羊飼いに対する明確な優位性を失う。季節の水場も乾き始め、ほとんどの野生動物はタランギーレ川に下り始める。タランギーレの動物相は、ゾウの群れ、ヌーの群れ、シマウマ、バッファロー、インパラ、アンテロープ、エランドなど550種以上の鳥類で構成され、コリ・クルスタード、アフリカン・グレイ、クラウンド・カサオ、ラブバード、クロツラヘラサギ、ルーファス、ローラー・クロス・リラ、クロツラ・ホワイト・フェイス、ウグイス・ランズウーマン、シロフクロウなどが見られる。

オル・ドイニョ・レンガイ・クレーターの近く、リフトバレーの最も低い場所にナトロン湖がある。火山灰と湖に含まれるナトリウムが結合してできた炭酸ナトリウムから名付けられたこの湖は、水中に生息するあらゆる動物を石灰化する。気温は60度まで上昇することがあり、アオコが生えるため、マイナーフラミンゴにとって非常に重要な生息地である。アルカリ性のティラピアは、温泉の流入で繁栄する湖の固有種である。湖の生態系は、この過酷な環境で生き残るシアンバクテリアにとって絶好の条件であるため、小型フラミンゴの絶好の繁殖地となっている。マサイ族は乾燥した草原に牛を集め、数頭の強いシマウマが残っている。オル・ドイニョ・レンガイの斜面を登るウォーキング・サファリは、間違いなく好奇心旺盛で冒険好きな人向けだ。

ンゴロンゴロの高地とセレンゲティ国立公園の間には、ハッザベ族の故郷であるソーダ湖、エヤシ湖がある。伝統的なブッシュマンで、タンザニア最後の狩猟採集民のひとつである。そのうちの約300〜400人が今も遊牧している。現在、彼らは弓矢でディクディク、インパラ、ブタを狩ることで知られている。砂漠のバラの樹液は狩猟用の毒薬として使われる。ハッザベ族はほとんど財産を持たず、必要以上の財産は他の部族に分け与える義務がある。野生の蜂蜜はハッザベの食生活に欠かせないもので、一般的に蜂蜜ガイドに従って野生の蜂蜜の巣を目指す。彼らは鳥と非常に親密な関係にあり、ハンターを呼ぶとまた口笛を吹く。ハンターは炎で蜂を追い出し、蜜の巣を取り除く。女性たちは一日中、バオバブやグロウィア、セービングの木の根や実、果実を集めている。部族内では男女ともに自治権があり、意思決定は平等に行われる。エヤシ湖の生態系は大地溝帯の一部であり、ソーダ湖はマイナーフラミンゴの渡りの中継地である。ハッザベの文化的な一日を楽しみ、地元のブッシュマンや彼らの伝統と交流する。

ンゴロンゴロ保全地域へ北上するルートは、マニヤラ湖国立公園だ。公園の入り口は、キスワヒリ語でモスキート川を意味するムト・ワ・ムブという地元の小さな村にある。リフトバレーの断崖の麓に位置するこの公園には、ピンクフラミンゴやペリカン、400種以上の鳥が飛来する。植生のコントラストは、草原を開く青々としたジャングルの森で構成されている。水辺の平原には、キリン、バッファロー、シマウマ、ヌー、ゾウがいる。カバがプールのような湖の縁によじ登り、到着すると騒々しい地鳴きのようなカラオが出迎えてくれる。ヒヒは公園入口付近の道路にぶら下がって、通り過ぎる世界を見て喜んで過ごしている。マニヤラ湖は、有名な木登りライオンでも知られ、氾濫原のすぐ内側のアカシアの森でよく見られる。公園の面積は330平方キロメートルで、水位が高いときにはソーダ湖が200キロメートルまで広がる。リフトバレーの断崖絶壁の頂上からの眺めは息をのむほど美しい。湖は何キロにもわたって広がり、フラミンゴのピンク色の毛布が景色を覆っている。

ンゴロンゴロ・クレーターは、300万年以上前に形成された火山カルデラ内の広大な盆地である。およそ8,292平方キロメートルに及ぶこの広大なクレーターは、ライオン、ヌー、シマウマ、ガゼルなどの野生動物が見られる保護区となっている。タンザニアの先住民であるマサイ族は、現在もここに暮らしている。この保護区内には、人類の祖先とされるアウストラロピテクスの骨が発見されたオルドバイ峡谷がある。その後の研究によると、人類は300万年以上前からここで野生動物と共存してきたという。25,000頭以上の動物が生息するンゴロンゴロ・クレーターは、1979年にユネスコの世界遺産に指定された。その中には、絶滅の危機に瀕している固有種のクロサイが約26頭生息しており、この地域で保護されている。クレーター周辺は植物が生い茂り、ゾウ、ヤマヨシ、マダラハイエナ、アフリカン・ワイルド・ドッグ、チーター、その他多くの種の生息地となっている。

国立公園に次いでタンザニアで最も人口が多く、「果てしない平原」として知られている。有名なハンター、スチュワート・エドワード・ホワイトはこの地を楽園と表現し、遊牧民マサイにとってはシリンギグ、つまり「大地が永遠に動き続ける場所」であった。最古の生態系のひとつであり、30,000平方キロメートル以上の広さを持つこの地は、作家や写真家にインスピレーションを与えてきた。故ヒューゴ・ヴァン・ラウィックは、この自然現象を世界に伝えるために多くのドキュメンタリー映画を撮影した。人類の化石発祥の地」として知られるオルドゥパイは、考古学者や歴史家の興味をそそった。リチャード・リーキーは、200万年以上前に我々の祖先がどのように暮らしていたかを発掘し、その知識を広めた。この地域は、マサイマラ、ンゴロンゴロ・クレーター保全地域、マスワ保全保護区、ロリオンド、グルメティ、イコロンゴの野生生物管理地域まで北に広がっている。UNESOの世界遺産セレンゲティは、毎年150万から200万頭以上のヌーが国立公園内を時計回りに移動することで有名である。毎年約9万人の観光客が訪れる。セレンゲティは決して死なない』は、1959年に撮影中に飛行機事故で亡くなったマイケル・グリジメックが撮影した印象的なドキュメンタリーである。

タンザニア南部の国立公園の中では最大規模を誇り、北部の公園と同じくらい多くの観光客が訪れるが、特別な体験ができる。ルアハはヘヘ語で川を意味するルヴァハに由来し、ムヘシ生態系の一部である。45,000平方キロメートルに及ぶこの公園には、多くのゾウや絶滅危惧種のアフリカン・ワイルドドッグ、クドゥーなどが生息している。また、ソーセージの木や樹上で休むヒョウの姿も見られる。南部でしか味わえないサファリ体験ができる。

人は住んでいないが、55,000平方キロメートルのセラス・ゲーム・リザーブは、東アフリカ最大級の保護区である。ルフィジ川によって上流と下流に分かれている。この川はセラスの中央を流れ、湖やラグーンの水源となっている。リカオンは食べ物を求めてサバンナや森を歩き、乾季には動物たちが川の周りに集まってくる。主にゾウ、カバ、ワニ、アンテロープが見られる。川辺の森にはオオカミザルが生息し、乾季にはゾウの群れがセラスとモザンビークの間を行き来する。

カタビ国立公園とマハレ山塊国立公園は、手つかずの自然が残る魅力的な場所だ。この2つの公園はタンザニアの西側に位置し、飛行機かボートでしか訪れることができない。グレイストーク・マハレに滞在するには、1時間半のダウ船で移動する。グレイストークの端にある素晴らしいビーチとタンガニーカ湖のターコイズブルーの水がマハレ山の底に輝いている。ロビンソン・クルーソーのような生活やチンパンジーとの触れ合いなど、興味深い体験ができる。ジャングルに生息する野生動物のほとんどは、ヤマイノシシとカワラノシシで、コロブス・アンゴラ、アカオザル、ブルーモンキーなどの霊長類もいる。クロハツやアフリカアシなどの鳥類も見られる。マハレとは対照的にカタビへの観光客は少ないが、セレンゲティ、ルアハに次いで3番目に大きな国立公園がある。北部の主な観光ルートとは大きく異なり、未知の世界に入り込んだような感覚になる。4,500平方キロメートルの公園内には、大きな川や湖、樹木、哺乳類が生息している。乾季の終わりには、水辺でたくさんのカバを観察することができ、カトマ、カブ、カッパなどの川にはライオン、バッファロー、ゾウが集まってくる。雨季には、小さなオカバンゴ・デルタとも呼ばれる、また違った景色を見ることができる。氾濫原は川の氾濫によって湿地帯に変わる。カタビではあらゆるものが素晴らしいが、タマリンドもそのひとつだ。その葉、果実、花は人間や象の食料となる。また、アフリカで最も多くのバッファローの群れと個体数を見ることができる場所のひとつでもある。

ザンジバルとペンバの多彩な歴史と文化は、今世紀初頭にさかのぼる。スワヒリ文化はイスラム教徒、アラブ人、ペルシャ商人の到来とともに発展した。オマーンのスルタンによってクローブとスパイスの農場が開発された。奴隷貿易のピークは18世紀で、ウンジュジャは最大の奴隷貿易港のひとつだった。19世紀にドイツとイギリスが奴隷制を廃止し、この魅力的な島を構成する文化や特徴が流れていった。ザンジバルの歴史的な首都であるストーンタウンには、カラフルなマーケット、スパイスショップ、歴史博物館があり、世界遺産にも登録されている。北部のビーチは白く輝き、サンゴ礁に囲まれている。南部のビーチはマングローブが生い茂り、かなり趣が異なる。ペンバ島は、20年前のザンジバル島のように比較的開発が遅れている。何もかも忘れたい旅行者にはぴったりの静かな場所で、ダイビングも楽しめる。乱獲によってすでに枯渇しているサンゴ礁を保護することは重要だ。

マフィア島はタンザニア南部の海岸から少し離れている。マフィア島とチョア島は人里離れた場所にあり、道はあまりない。1890年代にドイツが領有して以来、あらゆる船の安全な港となっている。11世紀にさかのぼる古代の遺跡は、チョレ・ムジニ・ロッジの隣にある。マフィア島海洋公園は、サンゴ礁の保護と乱獲防止のために1995年に設立された。ルフィジ・デルタとマフィア水路は、世界で最も多様な海洋生態系のひとつを形成している。面積1,500平方キロメートルにはジュゴンとウミガメが生息している。世界で見られる7種のうち5種、アオウミガメ、アカウミガメ、ヒメウミガメ、ウミガメがタンザニア沖に生息している。ジンベイザメと一緒に泳げるのは10月から3月まで。ジンベエザメ保護協会は、この特別な動物を保護するために人々の意識を高めることを目的としている。チョレミンジのエコツーリズムは素晴らしく、素朴な冒険を楽しみたい人におすすめだ。自然に還り、ダイビング、シュノーケル、ジンベエザメと泳ぐ、あるいはただリラックスする。